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ウニ、アワビなどの海産物や自然、歴史などが楽しめる岩手県の沿岸部。そのひとつ、大槌町では、地元の鎮守、小鎚神社で今月２７日、９月１０、２４日に「三陸大槌町 郷土芸能かがり火の舞」が開催される。かがり火を背景に奉納される郷土芸能の舞は、まさに幽玄の世界だ。一方、隣接する釜石市の注目は、「明治日本の産業革命遺産」としてユネスコの世界遺産に登録されている「橋野鉄鉱山」。緑豊かな山あいに点在する石造りの高炉跡は、古代遺跡を思わせる。
約１１００年の歴史を誇る小鎚神社。大槌町や釜石市、山田町など沿岸部数十地域の鎮守だ。
この３日間の各土曜日の夜に開かれる「三陸大槌町 郷土芸能かがり火の舞」は、地元に伝わる虎舞、鹿子（しし）踊、大神楽などの郷土芸能が同神社境内のかがり火の前で披露される。
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大槌町は郷土芸能が盛んな地域で１９の団体が活動している。その中でも注目が虎舞。大槌城山虎舞の総会長、菊池忠彦さんは、「虎舞のルーツは、江戸時代。地元の廻船問屋、前川善兵衛の船の船乗りたちが江戸で見た近松門左衛門作の「国姓爺合戦」の虎退治の場面を見よう見まねで始めたといわれています」という。
現在の虎舞は、トラが２頭でじゃれあう様子など、トラの動きを表現する舞になっている。舞い方は口伝で教えられおり、「元々は地域のものでしたが、東日本大震災によって地域がバラバラになり、現在は参加者の子供たちや友人などを中心に稽古をしています」（菊池さん）。
同町では、毎年９月下旬に「大槌まつり」で盛り上がっていたが、コロナ禍で中止となっていた。今年は３年ぶりに９月１６から１８日の３日間、開催される予定で、「これまで神社の『宵宮』で郷土芸能を奉納してきた。その雰囲気を多くの人に楽しんでもらおうというのが『かがり火の舞』。震災があってもコロナがあっても、郷土芸能はずっと続けていくものです」と菊地さんは語る。
★「ひょうたん島」のモデル！？ 蓬莱島 大人世代が子供時代に夢中になった人形劇「ひょっこりひょうたん島」。そのひょうたん島のモデルになったといわれているのが、大槌町の「蓬莱島」だ。
大槌湾に浮かぶ周囲２００メートルの小島で、先端の赤い灯台が目印だ。約１億２０００万年前に冷えて固まったマグマからなる花崗（かこう）岩が海に浮かんでいることが特徴的だとして、ジオサイトとして指定されている。
大槌町は東北の太平洋岸を歩いて旅する道「みちのく潮風トレイル」の一部でもあり、蓬莱島周辺は、吉里吉里海岸や浪板海岸などの景勝地を組み込んだ「大槌トレイルモデルコース」でもある。
★肉付き◎大槌サーモン「大槌孫八郎商店」 ウニ、大槌サーモンなど、地元自慢の食材で人気のネットショップ「大槌孫八郎商店」のリアル店舗が、２０２１年７月１０日に大槌町安渡地区にオープンした。
同店は、大槌町内の水産加工会社の商品を販売しており、スタッフの糸川さつきさんは、「おいし加工品はあるけど、店舗がないという業者の方々の商品を扱っています。例えば、大槌サーモンは、海流にもまれてたくましく、肉付きがいいサーモン。他では手に入りにくい味です」という。
水産品以外では「大槌ジビエ」として、鹿肉なども時期によって扱う。「農家にとって害獣であるシカをジビエに転換しようという試み」（糸川さん）で、串焼きやしゃぶしゃぶ、〝鹿ジャーキー〟など、料理人の方々と勉強会を開きながら製品化を目指していくという。
★〝鉄の町・釜石〟のルーツ「橋野鉄鉱山」 釜石市中心部から車で約４０分。緑豊かな山間に広がるのが、幕末の１８５８（安政４）年に日本で初めて洋式高炉による鉄の連続生産に成功した「橋野鉄鉱山」だ。
日本の近代製鉄業を支えてきた鉱山で、「明治日本の産業革命遺産」として韮山反射炉（静岡県）や軍艦島の通称で知られる端島炭坑（長崎県）などとともにユネスコ世界遺産に登録されている。
釜石観光ガイド会事務局長の藤原信孝さんは「この地は、製鉄業に適した土地だった」という。
まず、周囲の山から純度の高い鉄鉱石が産出され、まだ日本に蒸気機関がない時代、動力である水車に水を供給する河川に恵まれ、さらに内陸部の遠野方面と沿岸部を結ぶ交通の要衝で、運搬業に携わる人が多かったことなどがその理由だ。
「採鉱、運搬、精錬まで製鉄行程に必要な条件がそろっていました。高炉は大きな花崗岩を組み合わせて作られ、石組みは盛岡城の石垣を組んだ技術だそうです」と藤原さんは解説する。
現在は、緑の中に当時の溶鉱炉の一部が点々と残っており、古代の巨石遺跡のようにも見える不思議な空間が広がっている。
「〝鉄の町・釜石〟のルーツです。まさに、近代日本の国づくりをささえてきた鉱山で、歴史を知っていただくと面白いを思いますよ」と藤原さんは語る。
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August 19, 2022 at 03:00AM
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