日本男子ツアー国内開幕戦・東建ホームメイト・カップ開幕前日の30日、石川遼(30=CASIO)がリモート形式で取材に応じ「大好きなゴルフができる。感謝の気持ちでいっぱいです」と話した。昨年10月末に米下部ツアー予選会から帰国後、自主隔離中の違反行動で日本ゴルフツアー機構からツアー出場停止1カ月の処分を受けた。取材対応は昨年11月末の会見以来約4カ月ぶりだった。

実戦は昨年10月ブリヂストンオープン以来約5カ月半ぶり。16年の腰痛離脱による約5カ月(2月米ツアー・フェニックスオープン~7月日本プロ)を上回る最長ブランクだ。「半年…はたってないか。すごく久しぶりで、いろんなルーティンがぎこちない。探り探り徐々に徐々にやっていきます」と話した。

今年は米下部ツアー予選会挑戦を「今は考えていません」とし「“今のアメリカが見たい”と気持ちが変わることもあるかもしれないけど、フィジカル強化などやるべきことがたくさんある。日本で長い目で(自分を)しっかり見て、やっていきたい」と国内に専念するつもりだ。

今季の目標は「心技体にしっかり向き合って、ベースをしっかり作りたい」と具体的に言及せず、ゴルフの基礎固めに比重を置く以降を示した。中でも「体」だ。「昨年の春先は太ってでかくなっていたけど、筋力的にはあまりアップできず、今まで同様シーズンが進むにつれて筋肉が細く、弱くなっていった」。これまでもツアー出場と平行して行ってきたトレーニングの比率を「週2、3から週5にはしたい」。そのためツアーは今大会から25戦あるが「フィジカルを落とさないようにして」従来より出場試合を減らし、余裕を持ったスケジュールを組む可能性を口にした。

技術的には2つの課題を追い続ける。9番アイアンを外し、43度のウエッジを入れて「ウエッジ5本」のセッティングにする意図を「8番アイアンまでと明確に区切って、メンタル面で43度を握った時に“ウエッジを持ったんだよ”と思えるように」と説明。「そこから2打で上がる、壮大なプロジェクトなんですが」と軽く苦笑いしつつも「ゴルフ人生をかけて高めていきたい」と語った。

昨季から取り組むスイング改造も道半ばだ。根底にあるのは「スイング=円運動、回転運動」で「ウエッジにもリンクしますが、ライン出し→フェースを返さず、インパクトから真っすぐ出すのではなく、円軌道の精度を高めて、安定してラインを出す。ドライバーからウエッジまで、ウエッジでもしっかり(フェース)ローテーションをしていけるように」と説明した。

19年日本シリーズJT杯以来のツアー通算18勝目へ。同学年の松山英樹が大暴れするメジャー舞台へ。具体的な言及は避けた。「焦ってはいません。メジャーに出る権利は、力を出した時についてくると思います」。今大会は無観客開催だが、1戦1戦力を尽くす。「ご迷惑、ご心配をかけた方がたくさんいます。地に足をつけて、丁寧に1打1打プレーしていきます」と映像でファンに元気な姿を届ける。【加藤裕一】