◆YBCルヴァン・カップ準々決勝第1戦 FC東京1―0福岡（2023年9月6日、味の素スタジアム）
前半16分、エリアの手前に供給された相手の浮き球に、DFドウグラスグローリが対応。頭で戻したが、これをGK永石が取り損ねた。「球を見るというか、相手が目に入った」。詰めていた相手FWアダイウトンに右足で流し込まれ、これが決勝点となった。
塚本GKコーチは「あれはありがちなミス。技術的なミスではなく、何かが間違っているというのはなかった」と見る。評価したのはその後の永石の精神的な強さだった。「その後のプレーをすごくよくやってくれた。あの後で引きずって失点していたら（次の試合で）交代させていた」
その言葉通りに永石は「試合中は（ミスを）忘れるようにしていました」という。だが「試合後は思い出しましたね」。追い打ちをかけるようにSNSで「嫌な言葉もいっぱい見た」と苦しい胸の内を明かした。
それでも永石は崩れなかった。「（SNSなどで）個人的なストレスがあったけど（前向きな姿勢を）やめなかった」。あのシーンを思い出し「眠れなかった」と振り返ったが、練習では集中。「（SNSで見た言葉を）強くなって見返したい。やってやろうという気になった」。ホームの第2戦は完封。チームが2点を取って2試合合計でも逆転。4強入りを決め、クラブ初タイトルにつなげた。
「これ以上やられたら敗退してしまう。スイッチが入れ替わっていいプレーができた。ここから（前後半の）90分。2試合で決まるのだったら、ファーストレグ（第1戦）、セカンドレグ（第2戦）のトータル180分で勝てばいいと思えるようになった。チームへの信頼が高くなった」
シーズン終盤、福岡にはゴールマウスに立ちはだかる、たくましい守護神がいた。
January 07, 2024 at 04:30PM
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