「新春お年玉大会」だったね。実力差が大きいタイ相手に、元日の国立には6万人を超えるファンが集まった。普通、世界ではこれだけ実力が離れた相手との試合に、こんなにお客さんは来ないよ。

この1試合で、日本サッカー協会(JFA)は億単位の収入を得たのだろう。5人がA代表デビューを果たして思い出を作ったし、チームは5点差の快勝で9連勝だ。めでたい新年に、幸先のいいスタートだ。お年玉をいっぱいもらって良かったね。

このタイミングは、IMD(国際Aマッチデー)ではないため選手をフルに集めることはできないし、対戦相手を探すのも難しい。チームの強化を図るようなことはできない。恒例の天皇杯決勝が開催できず(インカレ決勝を前倒しして)国立が空いたため、偶然に組まれた「イベント」に過ぎないのかな。お祭りとしては大成功だったけどね。

新戦力を多く試したけれど、森保監督はこの試合でアジア杯カタール大会のメンバー入りを見極めようとは、思わないだろう。中旬(12日)にはアジア杯が始まる。26年FIFAワールドカップ(W杯)北中米大会から、アジアに与えられた出場権が8・5枠にもなったため、W杯予選は価値を大きく落とした。そのため、トーナメントの1戦1戦がアジアの強豪とサバイバルマッチとなるアジア杯が、日本代表に与えられた久しぶりの真剣勝負の場となる。

森保監督はかなり評価を上げているけど、振り返ってみれば、W杯でドイツ、スペインに勝っただけ。東京五輪ではメダルが取れなかったし、W杯では目標の8強に入れなかった。今度のアジア杯は、就任以来初めての大きなタイトルとなる。

お祭りは終わった。これからは真剣勝負。アジアの頂点にならないと、世界8強は夢だからね。新年いい夢を見たわけだから、まずはアジア杯で強敵をなぎ倒して頂点に立ってくれよ。それでこそ、夢が広がるよ。(日刊スポーツ評論家)