◆第３９回東海Ｓ・Ｇ２（１月２３日、中京、ダート１８００メートル）
今週から２０２２年の“Ｇ１ステップ重賞”がスタート。その第一弾が１着馬にフェブラリーＳへの優先出走権が与えられる第３９回東海Ｓ（２３日、中京・ダート１８００メートル）だ。注目は昨年末の阪神で圧巻のＶ逃げを決めたアイオライト（牡５歳、美浦・武藤厩舎）。遅咲きムードを漂わせるローレルゲレイロ産駒が重賞初ＶでＧ１に名乗りを挙げるか。恩田諭記者が武藤善則調教師（５４）＝美浦＝を直撃した。
―アイオライトは当初のマーチＳ（３月２７日・中山）の予定を東海Ｓに変更して臨みます。
「具合がいいんですよ。（前走のベテルギウスＳを）あれだけ走ったのに、変わりなくというか、むしろいいくらいです」
―ベテルギウスＳは昨年末の阪神。ハナを奪い、４角を過ぎてからは一気に２番手以下を突き放す強烈な勝ちっぷりでした。
「ラストの２ハロン目は１１秒台ですからね。ハナに行って目標にされて、（差を）詰められても、逆に離しました」
―１３日の１週前追い切りは美浦・坂路を単走で強めに追って５４秒２―１２秒７でした。
「時計的にも前走時と全く一緒です。ただ、今回の方が余力があります。追い切った後の歩様もシャンシャン（しっかり）している。この子のパフォーマンスを出せると思います」
―これまでのキャリアは独特です。デビュー戦は芝の１２００メートル。その後、ダートに舞台を替えてからもしばらくは６～７ハロンが主戦場でした。
「昨年１１月に福島で狙い澄まして１７００メートルを使いました（福島民友Ｃ２着）。その後（ベテルギウスＳで）１８００メートルに延ばしたら、どっちかというと１７００メートル寄りだと思っていたら、１８００メートルの方が良かった。でも短距離でスピードを磨いたのは良かったと思いますよ。その加速力があるから、楽に先手を取れます」
―母系はオールドファンにはなじみのある血筋です。祖母のカムイイットーは宝塚記念を制したハギノカムイオーの妹ですよね。
「中学生のときにハギノカムイオーがセリで１億８５００万円の値がついて、すごく印象に残っています。その一族の馬を管理できるなんてうれしいです。Ｇのつくところを勝ってくれるようになれば、種を残したいくらいの気持ちです」
―東海Ｓは、連覇を狙うオーヴェルニュなどがライバルとなりそうです。
「いかに気持ちよく走らせるかがカギですね。淡々と１コーナーで（ハナを奪って）決着をつけてしまえば、その後はそんなに無理してこないでしょう。安定の二枚腰も使えますから。（２歳時の）全日本２歳優駿（２着）では、現在交流重賞３勝のテイエムサウスダンを直線で突き放しました。能力はやっぱりあると思います。後のことは考えずに、ここで目いっぱい勝負したいですね」
〈病気知らずの「風呂おたく」〉 武藤調教師は３月で５５歳となるが、張りのある声で、小柄ながら声量もあり、パワフル。その元気の源は風呂だという。「完璧な風呂おたくです。１日２回入りますしね」。
朝起きて調教前に自宅で風呂に入る。「体を清めるというんですかね」と、新たな気持ちで美浦トレセンでの調教に向かう。さらに仕事帰りには銭湯で疲れを癒やす。このルーチンのおかげで「本当に風邪を引かないんですよ。代謝がいいですから」と病気知らずだ。
今年で区切りの開業２０年目。健康に自信があるからこそ馬にも全力で向き合える。トレーナーは「定年まであと１５年だけど、１頭くらい歴史に名を残す名馬を育てたいですね」と闘志を燃やす。その馬がアイオライトになる可能性はあるのか。東海Ｓがその試金石になりそうだ。（恩田 諭）
◆武藤 善則（むとう・よしのり）１９６７年３月２１日、神奈川県生まれ、５４歳。ＪＲＡ競馬学校騎手課程をへて、８６年に騎手デビュー。通算２８６５戦１５４勝。０１年に調教師免許を取得し、引退。０３年に開業。ＪＲＡ重賞は０８、１０年の愛知杯・Ｇ３を制したセラフィックロンプを含む３勝。１９年には交流Ｇ２の関東オークスのラインカリーナに息子の雅（２４）＝美浦・水野厩舎＝が騎乗し、父子タッグでＶ。長女の彩未（２５）は歌手。ＪＲＡ通算４９５５戦３０４勝。
January 18, 2022 at 06:00AM
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【東海Ｓ】武藤善則調教師アイオライトで「目いっぱいの勝負」 抜群の加速力と安定の二枚腰生かす - スポーツ報知
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