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復活の一杯 笑顔いっぱいに - 読売新聞

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 「締めの一杯」が人気だった松山市のラーメン店が、2020年11月に火災で全焼した。コロナ禍の中で収入はゼロに。借金も抱え、廃業を考えていた店主夫妻は、インターネットで資金を募る「クラウドファンディング(CF)」の支援にも救われ、6月の再開に向けて歩み始めた。夫妻は「お客さんに喜ばれる店を一から作り直す」と誓う。(栢野ななせ)

 加藤勝之さん(51)、妻知保さん(44)が営んでいた松山市三番町の尾道ラーメン店「麺屋勝十銭」。

 勝之さんは大街道のラーメン店で修業を積み、2010年に独立して開業した。いりこだしのしょうゆベースで、背脂を利かせながらもあっさりとしたどこか懐かしい味わいのスープ。納得の一杯を追求する勝之さんの姿を見ていた知保さんは、夢を支えようと結婚を決め、二人三脚で店を切り盛りしてきた。

 全12席の小さな店は、繁華街で飲んだ後の「締めの一杯」を求める客らで、日付の変わる頃にはいつも満席になった。客同士が会話を弾ませ、にぎやかな笑い声が響いていた。

     ◇

 最初の試練はコロナ禍だった。昨春の売り上げは8割減に。それでも、地域の子どもたちの力になれればとラーメンを半額以下で提供した。弁当のテイクアウトを始めると、「応援しているから」と常連客が買いに来てくれた。

 「ありがたかった。心が折れかけたけど、負けられない」。そう2人で決意した矢先に状況が一変した。

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 「もう終わりや」

 2020年11月30日の夕方。従業員が開店前の仕込みの作業中、油に燃え移った火があっという間に店中に広がった。駆けつけた勝之さんは、無我夢中で店内のガスタンクを運び出し、知保さんは燃えさかる炎を前にぼう然と立ちすくむしかなかった。けが人はいなかったが、店は全焼し、機材も全て失った。

 周囲に迷惑をかけたという負い目から精神的にも追い込まれ、絶望に打ちひしがれていた頃、友人が勧めてくれたCFを実施した。

 「また絶対食べに来る」「負けないで」というメッセージとともに、4月30日の期限を前に、約230人から目標の350万円を超える支援が寄せられた。常連客の顔が浮かび、「みんなの温かい気持ちで成り立っていた店なんだ」と奮い立った。

     ◇

 4月下旬、店があったビルの1階に、勝之さん、知保さんの姿があった。再建に向けた工事が4月に始まり、この日はカウンターの土台の取り付けに立ち会っていた。コロナ禍の自粛明けを待ち、6月中の再オープンを目指す。

 勝之さんは「恩を返すつもりで、死ぬまでおいしいラーメンを作り続けたい」、知保さんも「コロナ禍でみんながしんどい思いに耐えてきた。いつかこの店で、復活を笑顔で一緒に喜びたい」と力を込めた。

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April 30, 2021 at 03:00AM
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