北区のライター 雑誌発行
日本のものづくり人材を輩出する一方、荒れたイメージのある工業高校。そんな工業高校のイメージを変えようとフリーライター阿部伸さん(42)=北区在住=が工業高校生向けのフリーマガジン「チョイス!」を発行している。ものづくりや仕事の楽しさを伝える“工業愛”あふれる誌面は生徒だけでなく教師や保護者の心をつかんでいる。
雑誌は二〇一八年四月に始まり、年四回発行。東京、埼玉、神奈川、群馬、愛知、静岡、福島の約五十校に配布されている。
そのうちの一つ、都立工芸高校(文京区)では約五百部を生徒に配布。生徒からは「他の学校の様子を知れる」「企業のことなど進路情報誌では得られない情報がある」と好評だ。
阿部さんが雑誌を始めたのは、工業高校を取り巻く環境があった。
文部科学省の調査などでは、一九六五年に約六十二万四千人だった工業高校の生徒数は二〇一九年には二十三万九千人と約60%も減少。普通科に進学する生徒が増え、志願者も減っている。
子どもが工業高校への進学を希望する保護者から「うちの子はおとなしいが、ヤンキーみたいな生徒と一緒に過ごせるだろうか」と相談されたこともあった。
建築業界で働いた経験がある阿部さんは、工業高校は中小企業など日本のものづくりを支えてきたと思っている。
「良さが知られていない。このままでは日本はものづくり大国でなくなる。工業高校にスポットを当てよう」と雑誌を立ち上げた。
知り合いのカメラマンらの協力もあるが、阿部さんが編集長として取材や編集作業をほぼ一人でこなす。
取材は、企業で活躍する工業高校の出身者や企業の技術開発など多岐にわたる。
これまで、独創的な着物のデザインで注目されているデザイナー高橋理子(ひろこ)さんやトヨタ自動車元副社長で現エグゼクティブフェローの河合満さんが登場。「生徒のためなら」と取材を快諾してくれた。
高校生に仕事の楽しさを直接伝えようと、産業用ロボット開発を手がける「FAプロダクツ」会長でユーチューバーとして活動する天野眞也(しんや)さん(51)と出張授業を行い、誌面で紹介している。
今月十四日、阿部さんと天野さんは横浜市にある神奈川県立神奈川工業高校を訪れ、座談会が開かれた。
座談会には機械科や建設科などの生徒九人が出席し、「ロケットを飛ばしたい」と夢を語ると、天野さんは「これからはロボットと宇宙の時代。宇宙を目指しましょう」とエールを送った。
片受健一校長(58)は「『工業高校=就職』というイメージが強いが、大学に進学する生徒も増えている。工業高校の中身を知ってもらえる」と期待する。
同校ではまだ配布をしていないが、今後配布も検討したいという。
阿部さんの夢は雑誌を全国の工業高校に届けること。
「ものづくりが好きな子どもたちが、ものづくりの仕事に夢を持てる世の中にしたい。大人との接点が少ない高校生が視野を広げる機会にしてほしい」
スポンサーからの広告料もあるが、運営は赤字続き。雑誌を支援してもらう「チョイス!サポーターズくらぶ」を近く発足させる予定だ。
問い合わせはチョイス!編集部=電03(6876)0158=へ。
文・砂上麻子/写真・市川和宏
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April 26, 2021 at 05:03AM
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夢いっぱい 工業高校を「チョイス!」 ものづくりの魅力 高校生へ発信 - 東京新聞
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