
全国で約27万人が暮らすサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の一部で、囲い込みと呼ばれる介護サービスの不適切な提供が問題化している。背景には、サ高住が貧困や家族関係など様々な事情で行き場をなくした高齢者らの受け入れ先となっている実態もある。(板垣茂良)
ケアマネ「従うしかない」
「家族や親族がいても、帰る場所がない入居者ばかり。亡くなっても、うちで葬儀社を手配して永代供養にしている」 北関東のあるサ高住の経営者は打ち明ける。入居者約30人のほとんどは都内から移り住んできた生活保護の受給者。紹介業者を通じた都内の自治体などからの空室の問い合わせは、「毎日のようにある」という。 このサ高住の家賃は、生活保護費で賄える月3万~4万円。「何をしてもらうわけでもないが、寝たきりの人以外は一日中、併設のデイサービスにいてもらう」ことで、毎月のほぼ上限額まで介護サービスを使い切ってもらい、採算を合わせる。「囲い込みは、運営費を捻出するためにやむを得ない。理想と現実は違う」
入居の条件に
「毎月、サ高住事業者から介護サービスの種類や回数が書かれた紙を手渡される」。首都圏で働くケアマネジャーはため息をつく。 担当するのは、あるサ高住に入居する80歳代の女性。介護保険では本来、ケアマネが利用者一人一人と毎月、必要な介護サービスを話し合って、ケアプラン(介護計画)を作る。しかし、このケースはその逆だ。事業者の示す「利用票」通りに、介護保険で定められた上限額ぎりぎりまでヘルパーサービスを入れたプランを作ることを求められる。 女性が入居したのは今年3月。同居していた息子夫婦と折り合いが悪くなり、「貯金がない。でも家を出たい」と相談された。ケアマネがようやく見つけたのが、家賃が月4万円と女性の年金で賄えるサ高住。事業者の考えを反映させたケアプランの作成が入居の条件だった。 介護保険では、ケアの必要度に応じて、原則1割の自己負担で利用できるサービスの上限額が決まる。女性の場合は月27万円。「そんなにたくさんのサービスは不要なはず。事業者は金もうけしか考えていない。でも、プラン作成を断れば、女性が住めなくなってしまうかもしれない……」 日本総研が今年3月に公表した「適正なケアプラン作成に向けた調査」では、サ高住などの入居者のプランを作成する別法人のケアマネの4人に1人が、事業者側から「自分たちの提供する介護サービス利用を限度額いっぱいまで使ってほしい」と要望されていた。 調査にあたった紀伊信之主席研究員は「一部のサ高住などでは、ケアプランが、利用者本位ではなく、事業者都合で組まれているとみられる」との見方を示す。その上で「不適切なサービス提供は、介護保険財政の膨張に拍車をかけ、介護保険料の上昇につながる恐れがある」と指摘している。
November 18, 2021 at 12:11PM
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介護サービス限度額いっぱいに利用、虐待対策も不備…「サ高住」一部に不適切な実態 行き場のない高齢者につけ込む(読売新聞(ヨミドクター)) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
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